とあるグリフォンの物語(前編)

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☆☆☆妄想垂れ流し注意☆☆☆

 

この小説はRO妄想の産物です。

仕事のストレスを発散するために書きなぐった大変痛い小説です。

あと、今回のは長文すぎて重いって言われました。

 

ひまの人たちが何人か出てきますが、

勝手に妄想しているセリフなので、本人がそんなセリフいったというわけではありません。

 

では、以上の「痛い・重たい・非現実」を留意できる方のみお読みください。

 

 

 

今は昔、

 

世界樹の頂上に巣を構えるのは、グリフォンの女王でした。

巣の中には7匹の子がおり、その中から未来の王が決まる。

しかし、まだまだ子どものグリフォンたちはご飯も睡眠の場所も、分け合って仲良く暮らしていました。

 

一番最初に生まれた雄グリフォンは好奇心旺盛で何事にも臆さないタイプで、与えられる様々な餌に最初に食いつく元気の良いグリフォン。

二番目に生まれた雄グリフォンは光るものが大好きで、自分で身に着けたり、寝床に飾ったりとお洒落好きなグリフォン。

三番目に生まれた雄グリフォンは踊ることが大好きで、兄弟皆の盛り上げ役。

四番目に生まれた雄グリフォンはドジな末っ子に餌を分けてあげたり、好奇心旺盛で巣から落ちそうになる長男を支えたりと、面倒見の良いグリフォン。

五番目に生まれた雄グリフォンはいたずら好きで、一番目を騙して餌をとったり、二番目の宝物を隠したりと、何かと問題は起こすけど、六番目と七番目には兄貴風を吹かせてよく遊んであげる悪戯好きのガキ大将グリフォン。

六番目に生まれた雄グリフォンは五番目のグリフォンを尊敬していて、常に五番目について回る一番小柄なちびっこグリフォン。

七番目に生まれた末っ子グリフォンは唯一の雌で、少しドジっ子だけど、みんなから可愛がられ丸々太り、一番目に生まれたグリフォンと同じくらいまるまるした可愛いグリフォン。

 

そんな、グリフォン7匹兄弟妹に、ある日事件が起きてしまいます。

皆で可愛がっていた一番末っ子のまるまるグリフォンがバランスを崩してコロコロと、巣から落ちてしまったのです。

 

グリフォンの巣は世界樹の頂上にあり、そこから落ちてしまえば普通の雛鳥なら死んでしまいますが、グリフォンは雛とはいえとても丈夫です。だから、命を落とすようなことはありませんでしたが、

初めての地面だったので着地に失敗し、足を骨折してしまいました。

 

末っ子グリフォンはまだ飛べません。

足を骨折してしまっては、移動することができません。

そんなところをモンスターに襲われては大変です。

落ちたところは最悪なことにウンバラ村の一歩手前のフィールドです。

普通、モンスター同士は喧嘩にならない限り戦いませんが、見知らぬ生き物がいると、襲ってきます。

グリフォンは世界樹の巣で生まれるけれど、巣立ちと共に飛行を覚え、そのまま飛び立つちアナツベルという砂漠の国で育つのです。

だから、このフィールドのモンスターがグリフォンを見知っているかというと、

世界樹に登ったことのあるもの以外は、知らないのです。

 

末っ子グリフォンはなんとか生きようと、

骨折した足を引きずり、少しでも安全な場所を目指します。

しかし、幾ばくかもしないうちにドリアードやビードルに囲まれてしまいました。

 

「ピィイッ!ピィイッ!ピィィイッ!!」

(いやだよ!死にたくないよ!死んでなるものか!!)

 

雛でも末っ子でも、グリフォンの端くれです。

グリフォンは古くは神々の車を引いたり、神の守護をした誇り高き生き物です。末っ子グリフォンは懸命に威嚇します。

 

「ピィイイイイイッ!!」

(まだこの世界を知らないのに!!! )

 

 

「あれ?鳥の鳴き声がする?」

 

末っ子グリフォンの叫びが天に届いたのでしょうか、ちょうどウンバラへ行く冒険者が通りがかったのです。

冒険者は大型のペコペコに乗ったキラキラ美しい聖騎士様でした。

 

「グアーッグアーッグアーッ!」

(これは丸々太った美味しそうな鳥だっ!)

 

「ビィイイイイイイッ!」

(失礼な!!私はグリフォンの王女よ!!)

 

聖騎士様が乗ったペコペコはどうやら大変な食いしん坊らしい。

「こら、チオンちゃんっ!とても可愛い鳥さんじゃない!食べちゃだめよっ!」

「ピィィ?」

(可愛い?)

 

「きゃーっ!首かしげてる!ナニコレかわいい!!」

「ピィ?ピィィ?」

(可愛い?私のこと?)

 

「かわいいい!ケガしてるし治してあげなきゃ!連れて帰る!!!」

「ピッ?」

(んん?)

 

気づいたら蝶の羽で、一瞬のうちに人間の街に連れ帰られていたのである。

 

「はい~、エリーゼちゃんっ!この、はるる特製カボチャパイは絶品よ!好きなだけ食べてね!!」

「ピ~ッ♪」

(美味しい~♪)

 

連れ帰られ、足に添え木をし包帯でグルグル巻きにされた後は、至れり尽くせりだった。

なんにしろあのままドリアードやビードルの餌食にならなくてよかった。

 

モンスターから助け出し、治療までしてくださった方は「はるる様」という。

聖騎士の鎧がキラキラでかっこいい。お供のペコペコの口が悪いのはいただけないが。

「エリーゼ」という名前まで付けてくださった。ご飯を沢山くれる優しい人。

 

「エリーゼちゃん!今日は何して遊びましょうかー?」

「ピィ!ピィ!」

(はるる様が遊んでくださるなら何でもいいでし!)

聖騎士のお仕事の傍ら、遊びもたくさんしてくれる素敵な人。

自分はグリフォンの女王の娘だからずっとここにいるわけにはいかないけれど、

けがが治るまではここにいさせてもらう。

この楽しく優しい人のそばに。

 

そして、末っ子グリフォンこと「エリーゼ」は、はるるの新しい家族として迎え入れられた。

 

二カ月たったころ、

「エリーゼちゃん!完治おめでとう!!」

 

エリーゼは相変わらず丸々太っていたけれど、その体を立派な四本足が支えられるまでに完治した。

「ピィィ・・・!」

(はるる様ありがとう・・・!)

「あらら?お礼をいってくれてるのかな?いいのよ!可愛いエリーゼちゃんのためだもの!」

「ピィ!」

(可愛い?)

「可愛いー!!!」

 

こうやって軽く首をかしげると、はるる様は喜ぶ。

もうすぐお別れしなきゃいけないから、その前に沢山はるる様が喜ぶことをする。

はるる様は可愛いものが大好きだ。

だから、はるる様が「かわいい」っていってくれるしぐさをする

自分にはこのくらいのことしができなくて申し訳ないけど。

 

「いつか、大空を翔ることができるようになったら、必ずはるる様に会いに来て沢山お礼をしよう。」

グリフォンの小さな王女は誓う。

 

「さ!エリーゼちゃん!リハビリよ!お外に行きましょう!ギルドのみんなにも見せなきゃ!!」

「ピィっ!?」

(えぇ!?)

 

気が付くとエリーゼは「ひま親衛隊」のたまり場に連れてこられていた。

「はる?育ててるの、「鳥」っていってなかったっけ?」

そういうの「ミツ」という活発そうなモンクである。

「そうだよ!翼を閉じてると丸っこくってかわいいでしょっ!」

 

「いや・・足が四本あるんだけど。」

「ええ!うそ!ほんとだー!!気づかなかった!!」

「どう見てもグリフォンでしょ!一緒に暮らしててなんで気づかないんだよ!はるさん!」

そういって困り顔で頭をかくのは「よすく」と呼ばれた楽器を持った音楽家。

 

「ピィイ・・」

とても明るくて賑やかなお部屋です・・

 

「まぁ、鳴き声は鳥らしいか・・?小鳥みたいで可愛い・・?」

「可愛い?」

(ピィ?)

首をかしげる

「「「可愛いな!!」」」

「ピィィイ~♪」

(ありがとう~!)

 

「喜んでる喜んでる。」

「グリフォンかぁ~!ペコペコじゃないんだぁ~。ねー、この子どこで育てればいいと思う?」

「ウンバラ周辺じゃない?」

「遠いなぁ~・・」

「でも、イベントアイテム集めに行ったときにウンバラ周辺で拾ったんでしょ?」

「そうなんだけど、ウンバラ村って転送ないし。」

「じゃあ、その途中のサンダルマン要塞のボードとか?ミミズだし食べそう。」

「ピィィ!ピピィイ!」

(誇り高きグリフォンはあんなデカミミズ好みじゃないです!)

「うーん・・。なんか、エリーゼちゃん嫌がってそう。」

「ふむ・・。ボードが地属性で、グリフォンが風だからか・・?」

「普通にポリン島でもいってくれば?リハビリなんだし、ピクニック程度で。」

「可愛いエンジェリンに会えるかもしれないしな!」

「ピイィ!」

(可愛い!)

「お、喜んでるじゃん!じゃあ、ポリン島に決まり!」

 

そして、エリーゼはリハビリとして、完治した四本足でフィールドを駆け回ったのであった。

 

 

————————————————————————

 

「エリーゼちゃん、今日はどこへ行きますかー?」

「ピィイ!」

(どこでも大丈夫です!)

「今日も元気だねー!じゃあ、狩りの準備しよ!」

あれから、またしばらく月日は流れた。

 

「グエッ?」

(なぁ、グリ公?)

グリフォンの王女に対してなかなか失礼なペコペコではあるが、足の速さと重荷を運ぶ能力の高さは評価できるチオンである。

最初は縄張り争いで張り詰めた空気だったものの、はるる様がどちらに対しても平等に扱うので、今は良き仲間として思えるようになってきた。

 

「ピッ?」

(なんです?)

「グワッグワッ」

(帰らないの?)

「ピ・・」

(う・・)

見た目は丸々可愛くても、王女であるので気配は凛としている普段のエリーゼだが、急に重く悲しい空気をまとう。

今にも泣きそうである。

「グワッグアー!」

(ち、違うって!帰れっていってる意味じゃないって!)

「ピィ、ピィピィ。」

(大丈夫、わかってる。)

「グワッグワワーッ?グワーッ」

(すまん、でも母鳥?女王様なんだろう?大丈夫なのかなと思って)

「ピィ?」

(大丈夫って?)

「グワーッ」

(普通は心配して探すもんだろ?)

「ピィィ。ピーィ・・・」

(母様には生まれた時しか会っていないの。エサは侍女たちが運んでくれるし。兄達は心配してくれてるだろうけど、まだ飛べないし・・)

「グワワ・・・グワッ。グワ。グワッグワッグワッ!グワワッ!」

(そうなのか・・それはさみしいな。なら、ずっとここにいろよ。お前がいるとご主人様が嬉しそうだしな!俺も鳥仲間がいるのはうれしい!)

「ピィ!ピーーッ!」

(チオン!ありがとうなのー!!)

 

「おー!二人とも仲良くなったね!よしよし!えらいぞー!」

チオンと絆を少し深められた気がするとエリーゼは思った。はるる様にもたくさん褒めてもらえてご機嫌である。

 

「さ!狩りにでかけましょう!」

そういって、チオンの手綱を引き、エリーゼを抱える。

聖騎士の証である巨大な盾を反対の手に持ち部屋から外に出ると、

つい今しがた窓から見た景色はよく晴れた空だったのにもかかわらず、町全体が日陰になる。

町が少しざわめいていることに気が付いた。

プロンテラの兵士たちがあわただしく駆け回っている。

「?」

町の人が空を指さしているので、はるるも空を見上げると、

そこには町とほぼ同じサイズという、なんとも巨大なグリフォンが羽ばたいていた。

 

「はるー!!!!!!」

「はるさんー!!!」

遠くからはるるを呼ぶ。たくさんのギルドメンバーたちが集まってきた。

「みっちゃん!なにあれ?」

「どう見ても、そのグリフォンの親だろ!!」

「ピィ?」

(お母さま?)

『クォォオオオオオオオオオオオオンッ』

(娘よっ)

「はる!!!あのグリフォンが町に降りたらつぶれるぞ!!早くペコペコに乗って町の外にでて!」

「ええっ?」

「早く!!!!」

「はい!」

素早くエリーゼとともにチオンに乗り込むと、支持する前にチオンが全速力で門に向かって走り始めた。

「グワーーーーーーーッ!!」

(つぶされて死ぬのはゴメンだっ!!)

 

プロンテラから2つ先のフィールド、ソグラト砂漠にでると同時に、巨大グリフォンが舞い降りてきた。

『お前か?』

「ええ!しゃべった!?」

 

『私の娘をさらったのはお前か?』

「さ、さらった?」

『私の娘はイグドラシルの頂上で健やかに育っていたはずである。私の娘をさらったのはお前か?』

「ち、違います!」

『では、なぜ、娘とともにある。』

「ひ、拾ったんです、ウンバラの森の奥で・・!」

『イグドラシルの樹がウンバラの森の奥にあるのは誰もが知る当然の事実。愚かな人間、無断に我が城へ入り込んだ挙句、娘をさらい、連れ去れさった。かわいそうに。娘は兄弟仲良く暮らしていたというのに。』

「ち、ちがいます!」

『ちがわない、事実だ』

「ピィ!ピィイ!」

(お母さま!この人間がいっていることは本当です!)

『かわいそうな娘。すっかり人間に騙されている。神代より由緒あるグリフォンの王家に仇名した罪!覚悟せよ!!』

風がざわつき、フィールドのそこかしこに竜巻が発生する。竜巻は砂漠の砂を巻き上げており、触れるだけでもとても危険だとわかる。

 

「はるぅうう!!」

「はるさん!!!」

「はるさまー!!」

そんな中をギルドメンバーたちがスキルやペコペコを起用に使い、はるるの周りに集まってきた。

 

「私、グリフォンのお姫様をさらったと思われてるみたい。どうしよう・・?」

「やるしかない!」

「さすがみっちゃん!」

「「「無理だろー・・?」」」

「やらなきゃ、やられるだけだろ?」

「みっちゃん!かっこいい!!」

 

「とりあえず、俺が金剛で抱えるから、はる!献身して!みんなは攻撃!」

「はいぃ・・。」

「何この無理ゲー?」

「まぁ、やるしかないって感じ?」

「マジかー」

 

『残影!』「さぁグリフォンこっちだ!!」『金剛!!!』

『献身!』

『ブラギの詩!』

「グリフォン近接確認!攻撃開始!!」

『魔法力増幅!』『ヘブンズドライブ!』

練気功!』『爆裂波動』『阿修羅覇凰拳!』

『ソウルチェンジ!』「SP回復っ!」『サイズミックウェポン!』

『シャープシューティング!!』

 

「ピィ!ピイィ!ピーーー!!」

(やめて!みんな!母様と戦わないで!母様!やめて!お願い!!)

「グワッ!グワッ!」

(グリ公の母様、頭に血が上って話聞く気なんてなさそうだぞ!)

「ピー!ピピー!ピピーッ!」

(誰か!お願い!母様をとめてー!)

 

「「「ピピーーー!!」」」

(((母様やめてー!!)))

 

グリフォンの王女、エリーゼの願いが届いたのか、6匹の兄たちが従者に吊り下げられた籠に乗って表れた。

「だめだ!声じゃ母様に届かない!母様が力を振るえば冒険者どころか後ろの町まで破壊される!母様の前まで籠を下して!」

一番目のグリフォンの王子が従者に指示する。

「王子!それでは、女王が正気に戻らなかった場合、王子に万が一があります。」

「しかし、そもそもあの子が巣から落ちたのには僕たちにも原因がある!だから、爺や!僕たちがちゃんとお母さまに謝らなくては!」

「し・・しかし・・!」

「爺やがやってくれなきゃ、俺は勝手に自分で行くぞ、おりこうさんの一番目とは違うからな!それに俺が止めれば俺があいつの一番の兄ちゃんだ!」

いたずらばっかりするが弟妹たちの面倒見がよかった五番目のグリフォンの王子が籠に足をかける。

「五の王子っ!」

「僕もいくよ~!」

続いて六番目のグリフォンの王子も籠から飛び立とうとする。

「弟たちが行くなら私だって!」

四番目と

「うん!」

三番目と、

「ああ!」

二番目と、

「そうだな!」

そして一番目の王子も同じように籠から出ようとする。まだ、飛べないはずの王子たちだが、

 

「わかりました!わかりましたから!お願いです!!くれぐれも!籠から出るのはおやめください!!そもそも、巣から出てきてしまったこと自体問題なのですから!!行きますよ!!」

先々代の頃よりグリフォン王家に長年使える爺やは、小さく可愛い孫ほど年の離れた王子たちが日に日に成長するのが楽しくて可愛くて仕方がなかった。そして、お願いにも弱かった。今代の女王に罰を受ける覚悟で籠を出したが、王子たちに何かあれば命はないだろう。もしかしたら、攻撃の直前で逃げれば何とかなるかもしれない。そう思って、少々やけくそ気味に、グリフォンの従者は女王グリフォンの目の前へ移動する。

ちょうど、攻撃に耐え続けた冒険者に最後の一撃を与えるところだった。

 

「「ピーッ!」」

(母様ー!!!)

 

視界を何かが一瞬かすめたがかまわず女王グリフォンが爪を振り下ろす。

 

「「ピーッ!」」

(母様ーっ!!!)

 

爪は冒険者の目の前に降りてくる直前、空中で何かにぶつかって大きくそれる。

 

『!!』

 

ぶつかったのは王子の乗った籠で、王子たちは四方に転がり落ちていく。

「王子ー!!!」

従者が慌てて籠を支えなおしたがすべての王子が落ちた後、もともと低空だったこともあって王子たちは地面に叩きつけられた。

 

『息子たちよ!!おのれ・・!冒険者よ!!息子たちまで!!』

「ええええ!!!知らないよ!!」

「どういうこと!?」

 

「ピーピー!!」

(母様違うよ!!)

「ピー!!」

(母様正気にもどって!!」

「「「「ピーッ!!!」」」」

 

『許さん!!』

そして女王グリフォンは最後の一撃を加えるべく、爪を構える。

もう回復の手立てが残っていなかったみつは、

(死ぬときは幼女に看取られながらって決めてたのに・・・)

と死を覚悟した。

 

そして、歯を食いしばった・・・

が、

一向に爪が振り下ろされない。

 

パタパタパタッ

なにやら可愛らしい音がする。

 

「お母さま!お願いします・・・!この方たちは悪くありません!やめてください!」

なんと、小さな丸々したちびグリフォンが目の前で羽を頑張って動かして羽ばたいていたのである。

 

『娘よ・・お前は・・・。』

「お母さま、ごめんなさい、私、ドジでバカだからっ、巣から落ちてしまって、この方に助けてもらったのです。」

はるるの上空をクルクルまわり、懸命に女王に伝えようとする。

「巣に戻ろうとしなかったのは、戻れなかったのもあるけど、この方たちと一緒にいるのがとても楽しかったからなんです。」

みんなの周りを飛び回り、再び女王グリフォンの元へ舞い戻る。

「お母さま、だからこの方たちは何も悪くないのです。」

 

『そ・・それは・・』

「ピー!ピピピッ!ピピイーーッ!」

(母様!それは本当です!!七の姫が巣から落ちたのは事実です!)

『本当なのか・・?む・・・。確かに・・・。そうなのか・・?』

「ピピピッピーッ」

(僕たちの間で、爺やに内緒で巣から下を見下ろす度胸試しが流行ってて、七の姫が何も知らずに真似して落ちてしまったのです)

『ふむ・・・王子たちよ、その話はあとでじっくり聞きましょう。』

「「「ピィ・・」」」

(((ひぃ・・)))

女王は王子たちを籠に戻し、すぐ巣に帰って手当させるよう従者に命じた。その時、死の危険を感じていた従者は早々に王子を回収し、数百年生きてきた中でも最速のスピードで巣へ飛び立っていった。

 

『人間よ。私の勘違いだったようですね。驚かせて申し訳ない』

「し・・・信じてもらえたー!」

「驚かせた程度じゃないような・・・?」

「死ぬかと思った」

「ていうか、さっきからちびグリフォンが人語喋ってるんだけど」

 

『ふふ、私も王国のそれも王都を潰すようなことはさすがにしません』

「いや・・。風圧で城壁が欠けてるような・・?」

『ただの冗談ですよ。私はこれでもこの世界の守護者の一人ですからね。』

ギロッ

「は、はい!」

 

『さて、娘よ』

「はい、お母さま。」

『あなたと一緒に一番長く過ごした冒険者はどれです。』

「こちらのっ」

パタパタパタッ

「はるるさまです!」

 

「は!はるるです!エリーゼちゃんが喋ってるデス!」

「!、わぁ!わたし!喋れるようになってるですか!」

「エリーゼちゃん・・・!」

「はるるさま・・・!」

 

『冒険者はるるよ・・。娘が飛び回り、異種族の言葉を話すようになっていることから、あなたは娘に大変な愛情を注いで、大切に育てしっかりとしたグリフォンの成長に導いてくださったようですね。』

「そ、そんな、導いただなんて。でも、大好きな可愛いエリーゼちゃんが毎日楽しく過ごせるように頑張りました。」

『ええ、娘の成長を見ればわかります。グリフォンは深い愛情と絆を育てることで飛んだり話したりするスキルが成長するのです。』

「そうだったんですか!」

『しかし、娘はまだ人界で生きるには幼すぎるし、グリフォンとして知らないことが多すぎますので、今日ここで引き取らせていただきます。』

「そ、そんな・・!」

「お母さま!」

「グワー・・?」

(グリ公とお別れ・・?)

 

「エリーゼちゃんと、もう会えなくなっちゃうの?」

『そうです、娘はいつか私が管轄するフィールドの一部を私から受け継がねばなりません。そのために、これから人の手の届かぬ場所でたくさんの修行を積む必要があります。』

 

「仲良くなって、やっと走り回れるようになって、ようやく思いっきり一緒に遊べるようになったのに・・!会うこともできないなんて!」

「お母さま・・!わたし、はるる様にもう会えないなんて!耐えられません!」

エリーゼははるるの胸に飛び込み、はるるはエリーゼを抱きしめる。

 

『娘よ。グリフォン王家に生まれたものとしてこれは絶対なのです。わかっているでしょう?』

「はい。ぐすんっ」

エリーゼは王女としての役目を少し思い出し、素直に離れたが、涙があふれてとまらない。

 

『ありがとう、冒険者はるるよ。そなたには娘を育ててくれた礼と私が脅かしてしまった詫びとして、これを授けます。』

その言葉とともに、はるるとエリーゼの間に光が集まり始め、小さく美しい呼び鈴が現れた。

「これは・・?」

『これは今は音がなりません。しかし、あなたが今よりもずっと強くなり多くの人間を助けられるようになったとき、音が鳴るようになるでしょう。そして、あなたがその時にまだ娘を望むのであれば、娘と再び出会うことができるコールオブネメシスという鈴です。』

「コールオブネメシス・・・」

『今のあなたでは鳴らすことはできないでしょうが、再び娘に会いたいと思うのならばグリフォンの王女である娘に見合うくらいに強くなりなさい』

「強くなれば、またエリーゼちゃんにあえる・・!私、頑張る!!」

『そして娘よ』

「はい、お母さま」

『コールオブネメシスによって呼び出されるためには、母が認めるほどに強くならなければなりません。』

「お母さまが認めるほど・・」

『精進しなさい』

「はい!」

 

『では、巣に戻りますよ』

女王グリフォンが王女を抱えて舞い上がる。

 

「エリーゼちゃん!」

「はるるさま!」

「私!強くなるからね!!そんで、たくさんの人を助けて!絶対にエリーゼちゃんを呼ぶからね!」

「私も!強くなります!お母さまに認めてもらえるほどに!だから!必ず私を呼び出してください!」

「必ず呼び出すよ!!必ず!!」

「はるるさま!!」

「エリーゼちゃん!」

「「またいつか・・・!!」」

 

そして、プロンテラに襲来した巨大グリフォンは日の沈む西の空に飛び立っていった。

 

なおそのころ・・・

対巨大グリフォン戦のためプロンテラ城から出陣した冒険者数百名を伴ったプロンテラ騎士団が、ちょうどソグラト砂漠に入ったところでそれを目撃し、事情聴取につかまり、街中にグリフォンを連れ込んでいたことで大変な注意を受け、城壁の修繕費を求められ、はるるとチオンが家に帰れたのは次の日の朝日を望むころだったという。

 

————————————————

 

・・そして、数年後、はるるは多くの人を助け、ルーンミッドガッツの七王家にまで名がとどろくようになっていた。

巨大な盾にあしらわれた金の翼の紋章が輝き、青と銀の鎧が歩くたびにきらめく。

はるるは、ついに、ロイヤルガードにまで上り詰めていた。聖騎士の最高峰である。

胸にきらめく呼び鈴は数年たったが大切にされているらしくキラキラと輝いている。

 

いつものように七王家の一つであるリハルト家からの依頼をこなし、報告した後のこと

 

チリンッチリンッ

 

その呼び鈴が、風もないのになり始めた。

 

 

 

<<<つづく>>>

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1件のコメント

C:

さわやかなラストだった
チオンちゃんもエリーゼちゃんと仲良くしてるんだろうなぁ

投稿日:2017-05-14(08:06)

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